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静と動

三回目の武生。すげー。坂本龍馬、狂ってる。すげー。こんな造形を見たことがない。しかしすげーと思いつつこれは間違いだろうと思う。この坂本に日本をまかせたら日本は崩壊したな(でもそっちのほうがよかったかもしんないが)。

二回目に来た時に「龍馬とお龍さんの芝居はよくなった」と思ったが、龍馬の狂気とともにそこの芝居もへんな方向に行っちゃってたような。狂気の痴話喧嘩なら見てみたかったけどそういうんでもなかったなあ。それから龍馬のラストシーンのお龍さんの独白場面。泣き出すのが早くなった。それはよくない。こらえてこらえて気の強い笑顔で語りながら、最後の最後に吹きこぼれるように涙、のタイミングだと思う。「初めて龍馬さんて呼んでくれた」のところの演技(あそこって、どういう演技をするかすごく難しいとこだ。初回に見た時は「あららら」で、二回目は「あー、よくなった! でもあと何かが違う」だった)が「コレだ!」というぐらい的確になったので、ラストの泣きの早すぎるのがすごい気になってしまった。

黒紋付きについた家紋、が大好きなのでとにかく見ております。オープニングの黒紋付き軍団の、桜花ちゃんは坂本龍馬の「組み合わせ角に桔梗」なので簡単であるが、他の人のが意味はあるんだろうか。ひーちゃんのは「橘」で、桂稀けいとのは「丸に九枚笹」なのはわかった(この家紋をつけてるのには由来があるのかどうかは不明)。わからんのが蒼音淳のと虹架のやつだ。どっちも器物紋ぽいんだけどなにしろ細かくて、モノが何なのか見当がつかないから家紋辞典を片っ端からしらみつぶしに見ていくしかない。

そして薩長戦争の場面。あそこを名場面だと思うのは、ビジュアルが何しろいい。背景に丸に十の字の島津の家紋、一文字三つ星の毛利の家紋。この二つの家紋が、どっちも単純で並んだ時にクールかつポップで(これが片方が笹竜胆に雀、とかだったらバランスがぶちこわしだ)、モダンダンスの装置みたい。そこに出てくるひーちゃんの桂小五郎も蒼音の西郷さんも、黒紋付きに袴、白鉢巻き、そして素頭! ここでへんに安いカツラとかかぶせないで素頭で押し通したのはよかったー。かっこいいんだもん。そして鉄砲隊も男役女役入り乱れて全員同じ格好で、『義経桜絵巻』の弓矢隊を思い出しました。とくに女役の鉄砲隊姿がかっこよくて良い。

今回の武生公演で「私的いちばんの見どころ」。薩長戦争で、桜花ちゃんが(ありゃ龍馬じゃないわな)西郷を説得してる時、ひーちゃんが、
(1)すぐ横にいる華月の構えている火縄銃にちらっと目をやり、
(2)ぐいとその銃を取り上げ、
(3)的を定め、
(4)そして悠然と西郷に向けて構える。
この1〜4の動きが超絶にかっこいいです。そのあと、西郷さんと向き合って、どうしたらいいか悩んで「イーッ」とかいう顔をするのはご愛敬ですが(まあ、かわいくはある)、この火縄銃のところは、ひさびさに、「みんなこのかっこいい男を見てくれ!」と叫びたくなった場面である。

思えばひーちゃんというのも不思議な人で、ふつうに考える「芝居のできる人ってこんな感じの人」というのとちがう人物像なのである。そのへんが逆に凄いんだが。

しかしやっぱり思うのは、桜花ちゃんに「演技を深めることがテンション高くなる方向にいくしかない」という役「じゃない」のをやってほしい。静かな役というわけでもなく大人な役というわけでもないんだけど、それは。じゃあどんな役かと必死に考えてみると『邪宗門』の千葉潔かなあ。あーそうなると行徳仁二郎は大貴誠に、だな。


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