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京都の秋

大津に引っ越すことが決まった時に決意したのが「秋になったら『緑菴』の上生菓子を買いにいこう」ということだった。その決意を今日、実行してきた。
(なんて書くと、『緑菴』が大津にあるみたいだ。そうではなくて『緑菴』は京都にある上生菓子屋である。左京区にある。最寄り駅、たぶん京阪丸太町からはずいぶんあって、バスかタクシーか自転車でないと行けない。そういう場所には、大阪あたりに住んでいてもなかなか行くふんぎりがつかない。しかし大津なら京都の隣みたいなもんだし、行けるんじゃないかと思った、という意味です)

緑菴は予約はいらないが、目指す上生菓子が売り切れていたら哀しいのでいちおうきのう予約の電話をしておいた。その電話が終わってしばし考える。どうせ京都に行くなら緑菴だけじゃなくて他の店の上生菓子も買ったらいいではないか。緑菴に行くには三条か出町柳でレンタサイクル借りて行くのだし、それなら京都市内なら自転車で回れる。それならデパートなんかに出ない、要予約の店の上生菓子を買おう。そこでセレクトされたのが『嘯月』と『松屋常盤』であった。要予約といったって前日に電話して「きんとん四つ予約します。青木です」と言えばすむことなので簡単だ。

しかし『緑菴』に『嘯月』に『松屋常盤』の三店でそれぞれきんとんを買う。このセレクトだけでうっとりしちゃう。京都の和菓子界における桜花、高世、桐生という感じではないか。この中で私は『松屋常盤』しか食べたことはない。あとは写真で見たことがあるだけだ。その段階では「桜花=松屋常盤」「高世=嘯月」「桐生=緑菴」というようなイメージであった。

出町柳の「かりおん」という、一日三百円で借りられるレンタサイクルに乗って出発した。川端通りを南下、東一条通を東へ、東大路を南下、丸太町通を東へ、突きあたった鹿ヶ谷通りを北へ。今日借りた自転車が、やけにギアが重く、ほんとに重いのかどうかわからないけれど私の脚には重くて「男のギア」という言葉を思い出させるほどのもので、平地でも負荷がかかったような進みっぷりだったので、丸太町通が突きあたるあたりの坂道がものすごくこたえた。自転車おりて押して上がりました。しかし鹿ヶ谷通りはあんまりアップダウンはなく、ほどなく『緑菴』に到着する。予約しといたきんとんの他に、「紫苑」というういろう製の上生菓子がやけにおいしそうで思わず追加で買ってしまう。

『緑菴』を出て、鹿ヶ谷通をさらに北へ、今出川通を西に進む。今出川通には美味しそうな店がいっぱいあるんよなあ。フリアンディーズも童夢もエズ・ブルーもマリー・フランスもプチメックも。しかし今日は三つの店できんとんを計十二個買うので(おまけに緑菴では予定外に一個多く買ってしまった)それらのものまで買っていてはたいへんなことになるので、涙を呑んで通り過ぎる。堀川通を北に行き、晴明神社を通りすぎて表千家を通りすぎて淡交社を通り過ぎてやっと『嘯月』につき、きんとん四つを受け取る。どんなきんとんか聞いていなかったし、店には見本も置いてない。店の人が箱をあけて見せてくれた。「交錦(まぜにしき)」。白と桃色のそぼろに黄色のそぼろがちょこんとのっている。予約電話の時は「大丈夫か」と思うようなおばあさんが出たのだけれど、接客してくれたのはたぶんお嫁さんというか奥さんで感じがよかった。

細道を適当に曲がって曲がって北大路に出て東へ、烏丸通を南下、御所の横の歩道は小さな堀みたいなのがついていて、観光客が広がって歩いているから、自転車で走りながら堀におっこちそうでこわい。丸太町通を東へ、堺町通をちょっと下って『松屋常盤』できんとんを受け取る。ここは安い。四つ買って千円というと何かの間違いのような気がする。

すべてのきんとんを自転車の前カゴに入れて(なるべく揺らさないように気をつけて)丸太町通を東へ、寺町通を北へ、今出川通りを西へ、出町柳に帰ってきた。ギアは最後まで重くて、自転車降りたら太ももがガクガクした。乗ってた時間は一時間半ぐらいだったのだが。

家に帰ってきてジャスミン茶できんとんを食べる。まず『嘯月』。次に『松屋常盤』。そして『緑菴』。高世味に桜花味に桐生味。最初に思い浮かべていたイメージ通りである。『嘯月』の高世っぷりはすごい。となると、大ちゃんはいったいどの店なんだろう。食べたこともない店で今はもうない『生風庵』が大ちゃんぽいなあと思う。食べたことのある店だと『鶴屋八幡』の上生菓子かもしれない。『鶴屋八幡』はデパートにもよく出ていてポピュラーな店だけど、上生菓子はものすごく美味しいです。

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※2008/10/17の日記です。今は大津に住んでません。今は松屋常盤はきんとんやめてしまっている。

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