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春のおどりの感想(日舞編)

思ったこと思い出したこと。とにかく初日の初回から見たい。他人の感想を聞く前に自分で感想を言いたい。三階に大好きな席があってそこで見た。あとは一階の6列目センター、3列目花道横、最前列上手で見ました。

★チョンパの瞬間にショックを受ける。舞台の絵面がスカスカだ。チョンパってもっと豪華なものでは……。
(この気持ちは一階6列目で見たときも変わらなかった。しかし2列目で見たらそうでもなかった)
(発表会みたいな絵面だな、と思っていたのだけど、大きな劇場の日舞の会とかだとこんな絵面だったような気もするので、ある意味正統的な日舞の絵面なのかも)

★そのチョンパから幕開きの総踊りは、まあいつもの感じ。主題歌は印象に残らず。ここまではあまり盛り上がらず(私が)。

★いきなり『松を手折って松を助く』という場面になる。赤子を抱いて出てきてるのはふつうに考えれば常盤御前。でもセリフもなけりゃ何の説明もない。歌があるけどそれも抽象的なことしか歌ってない。場面の説明ではない。この時に「え、これは、すごい、すごいかも……!」という予感が芽生える。

★赤子が入ってるカゴが、うちで洋服つっこんでるカゴとたぶんいっしょ。

★赤子が牛若丸に変わって出てくるところは、想像通りのよくある出てきかた。だけど「やっぱりでたーーキターーー!」という気持ちにさせます。

★弁慶。桐生さんが弁慶やるって聞いた瞬間から落胆していた。安易なキャスティングとはこういうことだよ! 私なら弁慶は悠浦にやらすが。桐生弁慶は想像通りでつまんなかった。五条大橋の有名な場面は、殺陣がいまいち。牛若丸が橋から飛び降りるところ(鞍馬の天狗たちが担ぎ下ろすことによって、空を舞って飛び降りる、みたいな振付)は、いかにも段取りなのがみえみえなのでアチャー。これは千秋楽の前日に見ても段取りちっくなままだった。うーん。
五条橋は義経モノなら欠かせぬ場面だったと思うけど、わりかし平凡でした。でもここの場面もまったくセリフなし説明なし。

★暗転ののち「波の男女」が出てきてのどかな歌(やっぱり抽象的な歌詞)を歌い出し、中幕が上がると灰色の台に乗った女人が舞っていて、「あーこれは建礼門院!」と思ったら扇の的をかざしたから「ちがう那須与一だ」とわかる。このあたりから曲調が変わる。宝塚っぽいというかエリザベートっぽいというか、そんなふうに不穏に盛り上がるので「なんか宝塚っぽいのはイヤだな」の「な」のあたりで花道から那須与一が登場して盆が回りだし、扇持った女房が乗ってる台もぐいんぐいんと動き出し盆の動きと台の動きはそれぞれ好き勝手なのにうねるように連動していて、さらにぐるぐると荒れる光と影が舞台の全面を覆い尽くし、そうやってバケモノのように動く盆を那須与一がさらに軽やかに飛び回っていく。これを初見で上から見下ろしたのが大きかった。「こんなのはじめて見せられた!」という衝撃。女房は遠かったので誰だかわからなかったが、美しくて、この舞台のうねりを生み出してる妖女なんじゃないかと思われた。あとでそれが舞美りらと知って驚いた。こんなにきれいな舞美ちゃんはじめて見たよ。うねる舞台に翻弄されながら花道七三に戻った那須与一が、この公演で最初に発せられたかと思われる「南無八幡大菩薩この弓ナントカカントカ」というセリフとともに弓を放つ(これも弓も矢もなくて扇で表現)、すべての動きと音が消え、ひゅるるるるるるるーーーぱしん! と女房の扇が撃ち落とされ(ほんとに前にびゅっと落ちる)そしてそれが一瞬にして空に舞い上がって(まるでUFOみたいに左右に舞いながら)消える。宝塚みたいな音楽でやだな、とか思っていたことなんかすっかり忘れてた。この場面にはこの音楽しかない。この場面終わってもしばらくドキドキが止まらなかった。

★次は所謂『先帝身投』の場面だけどここはべつにそれほど。安徳天皇六歳なのに加冠してる姿(これ明らかに間違い)なので哀れさに欠けたのと、「波の下にも〜〜〜」っていうわかりやすい歌詞の歌がどうも間が抜けてたので。初日は三階からだったんで誰が歌ってんのかわかんなかったが、至近で見てみたら愛瀬ではないか。もっと歌うまいはずなのになぜ。それでなんか楽しいこと歌ってるような感じで、別の都に行くから楽しいという解釈もありえるけど。続いて『能登殿最期』。壇ノ浦での平家と源氏の戦いで、能登守教経が源氏の郎党を両脇に抱えて入水して果てる。壇ノ浦であるしいちばんの大立ち回り場面。ここも盆が回りセリが上がったり降りたり、佐藤継信の目がいきなり矢に射られるとかヒエッと思わせるギミックが仕込んであったり、継信を殺し終えた教経の表情が超クールでBL小説のインテリヤクザ(だが殺しとベッドは凶暴)みたいでよかったり、……まあそのぐらい。立ち回りがやっぱりちょっとイマイチだったな。義経は接近戦はよくないとみた。このあと静御前が出てきてラブシーンぽいのがあってややだれる。だれたらいきなり現代の素頭に着流し姿の那須与一や能登守教経や佐藤継信や弁慶さんたちが出てきて民謡メドレーとなります。最初の民謡で「ここは平泉ぃ〜」っていうので「あー義経だしね、そういうことね」とすぐわかる。OSKファンは民謡メドレーを愛するけれど、ここの民謡は選曲とアレンジがどうも疾走感なかった(ここの音がいちばん宝塚ぽかったのかもしれない)。いやこれは道行きのアレゴリーだからそんなにスピードは要求されない……と自分に言い聞かせたがそれでもやっぱり「あんまり好きじゃない民謡メドレー」だったかもしれない。

★まあふつうはそこで終わるというのがOSKの日舞なんだが、民謡のあとにまたフル装備の弁慶が登場し立ち往生し(やはりあの民謡は衣川までの道行きであったことがここではっきりわかる)また静御前の幻影みたいのが出てきたりとか義経もたぶん死んだ……というような場面がきて、最後は登場人物全員揃って総踊り。死者のお祭りですな。ここでまた主題歌が出てくるがやはりいまいちな曲でありそれが長い。フルコーラスが5番ぐらいまであるようないつまでやってるのかという長さ。長すぎてトランス状態かっていうぐらいだった。あ、死霊の盆踊りか。

こう振り返ると、「なんの説明もない」のと「那須与一」のとこだけでもう私としては240点ぐらいで、他のマイナス点を差し引いていっても98点にはなる! みたいな感じでした。今冷静になってみれば「なんだかな……」な場面もあるし82点ぐらいかなあ。最近は70点に届いたら御の字だったのでそれでもすごいことである。でも何よりも私が不満なのは桐生麻耶が弁慶やったことか。別に桐生さんがだめだとかできてないとかそういうことじゃなくて(誰にあれができるんだ!ってぐらいのものです)(でもそれはもうわかりきっていたことなのです)、なんかもっと、「ええーっこんな弁慶が!」みたいなのを見たかったよ。なので私は悠浦に弁慶やらせたらいいと思ったんだけど、今回の春における悠浦はどうも存在感が薄かった。なら楊の弁慶も面白かったんでは。とかいろいろ考える。なら桐生さんは何をしたらいいのか。『大原御幸』?……いやーそれもわかりきったものになるよな(でも弁慶より見応えあると思うけど)。じゃあ俊寛……てのも弁慶ダメと同様にダメなセレクトなんだけどさ。でも誰か若手の男役を有王にして。その場面見たいよ。牛若丸の次に那須与一がいきなり出てくる構成なら俊寛をどっかにぶっこんでもぜんぜんおかしくないよねー。

武者たちと公家

コメント:1

t_k 17-06-28 (水) 14:57

日舞でも洋舞でも基本的にレビューは場面転換が早く景或いは場毎に衣装と装置と踊りと或いは歌・簡単な台詞で見せるもの。テーマはあってもなくても良く、ストーリーなんぞはいらないと個人的には思います。その理由から考えると2004年の「桜咲く国」の日舞レビューは良く出来ていた。

今回の「桜鏡」は初見は源平合戦の武士草創期の話で華やかに欠けると感じましたが、2回目からはチョン パから総踊り、唐突な民踊メドレー、フィナーレの総踊り、それに技芸員の技術の高さ、熱さを感じ良い作品だと思いました。

ストーリー歴史的部有名な部分のダイジェストでこれも有りと感じました。
ダレず眠くならなかった、その個人的理由からも良い作品でした。

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