Home

大日貴

大洲紀行1

100502_1246~01.jpg

伊予の小京都だそうだ。町に人のいないこと武生の如し。この風呂屋はいいが京都ではない。

人を撫でさすり人を殺し

凶器の骨

思えば歌劇の燕尾服ってのも安っぽいものだ。プラスチックのボタンにジレはジルコンのボタン。ジルコンのボタンとはいったい何事だ。しかしこのジルコンひとつで数千円という世界である。バカバカしい。しかし本体の燕尾のボタンがプラだとジレにせめてジルコンでもつけないと見られたもんじゃないかもしれない。つまり服地から仕立てから釦の材質からすべて吟味しきって初めてジレーがシンプルな貝ボタンでももつ、ということか。そんな燕尾服はいったいいくらかかるのかと思うと気が遠くなる。しかし安物をキンキラで飾るようなことをしなくたって充分に美しい骨があるではないか。骨をとりまく絶妙の肉と皮膚とサージのようなふつうの生地と貝ボタンでいいではないか。

戻る。元の場所に

今日もリンデに行ってしまったなどと書こうとして何もかもいやになる。リンデはうまい。確かにうまい。明日、プレッツェルを十個買おうと考えているぐらいうまい。でも吉祥寺のドイツパン屋に毎日のように通っているなんて腐っている。きのうから宇ち多”のことが忘れられないでおり(きのうは京成立石→京成小岩→徒歩→JR小岩→古いケーキ屋でケーキ→新宿→喫茶店2軒チョコレートパフェとレモンティーなどという行程だった)リンデよりは宇ち多”のほうがまだ腐れぐあいはマシかもしれないが所詮腐っているのだ。こんな腐った毎日は破壊せよとアイラーは言った。

家郷

standing stones

グルメ本で見て東京の東の端っこにある町のモツ焼き屋にわざわざ行くのすら恥ずかしいことなのに開店前から並んで開店したら一回目の席には座れずさらに並んで待つなどという恥の上塗りをしてしまったのであるが、しかし今私は「ただちにまた行きたいたとえ開店前から並ぶことになろうとも」という気持ちだ。京成立石の『宇ち多”』である。

私は酒を飲まない。というか飲めない。美味しいと思えないからだ。道頓堀にこじゃれたモツ煮込みを出す『ふじ井』という店があってそこではハイボールが名物で、それは酒をジンジャエールで割るのだが、私はハイボールよりもジンジャエールのほうがうまいと思う。アルコールのあの味が好きじゃないんだろう。で、『宇ち多”』はウーロン茶もサイダー(キリンレモンであるが)もあるからノンアルコールで行けるのだが私は取り憑かれたように「梅割り」と言っていた。割りというから梅が半分ぐらいかと思うとそんなことはなくコップにキンミヤ焼酎(らしい)をなみなみついでそこに梅を滴らせる、程度なのである。しかし私はそれをぐっぐっと飲んでしまいおかわりまでした。焼酎なんかふだんまるっきり飲めないというのに。私の嫌うところのアルコールの味はガンガンするのに、飲めてしまった。2杯目はサイダー(キリンレモンであるが)をもらって飲んだそばから割っていったが。でもそれよりも1杯目の梅割りのほうがきっとうまかった。いったいなぜだろう。

頼んだもの。煮込み。おしんこ。タン生。レバ生。アブラ塩。レバ塩うんと若焼き。ハツ塩。ダイコンしょうがのっけてお酢。タン生。レバ塩うんと若焼き。シロタレ。タン生は本に載ってた写真を見ただけで取り憑かれてしまい夢にまで出てきた。それをついに食べた。想像の中で味わっていたものと同じ味だった。私の想像力は現実なのだった。煮込みは甘ったるくなく、「コンニャクなどによる増量もなし(モツ煮込みを評した立花隆の名言。ここの煮込みの話じゃないけど)」で、各部位とろけるようでたまらんものがある。ふじ井の煮込みと方向性は同じだができあがりがこう変わるか。どっちも同じぐらい好きだ。アブラ塩は悪魔の食べ物。ハツ塩は「これを食べ物でたとえたら白米」のような位置と味わいだった(わかりづらいことを言っていると思う)。私はシロというものが好きでなく、焼き物におけるタレも好きではない、のにもかかわらずここのシロタレは美味いと思ったのでびっくりした。そしてレバですよ。私は写真で見てレバは生よりも若焼きのほうがうまいだろうなと思っていた。先に生が来た。大きめに切ったやつを串に刺してある。食べた瞬間「まるで新鮮な野菜を食べているよう」と体が叫んだ。私は今まで食べた生レバーでいちばんうまいのは堺筋を南下したどんつきにある焼き肉屋の生レバーだと思っていたが、口に入れた瞬間「今まで食べた生レバーでいちばんうまいのは今口の中にある」と評価を変更した。そしてレバ塩うんと若焼きがきた。生レバーがとんでもなくうまかったがこの若焼きはもっとうまかったのだ。そうなると若焼きよりも生レバーのほうが「うまくない」ということになるのだがそうはならず、別のものとして優劣をつけることが不可能というか無意味、と私の評価メーターはそう評価を下した。とにかくとんでもないレバーだ。レバーを焼くならだんぜん塩なのだが次回、タレも頼んでみたい、と思うけどタレに浮気する余裕がないと予想する。そしておしんことダイコン。こいつらは、立場的に合いの手ということになろうが、そうではなくて肉と同じぐらいのパワーがあった。とくにダイコン。こんなダイコン食ったことない。

そして特筆すべきは店の兄ちゃんなんだが、あの人が内田さんなのかどうかわからないが、兄ちゃんのクールとあったかいのとかっこつけと含羞とが入り混じったあのたたずまいはめったにお目にかかれるものではない。

都心

きのうは都心に出てからまた吉祥寺に帰ってきて近鉄裏を久住さんに案内してもらうという贅沢。しかし都心に出る前に吉祥寺でリンデにまた行ってしまった。リンゴ薄切りとカテージチーズの乗ったライ麦パンとバームクーヘンをイートインで食べたんだが、このバームクーヘンが異様なほどにうまいのである。やはりドイツだ。で、吉祥寺に帰ってくる途中で、阿佐ヶ谷で降りて、ずっと気になってた(『散歩の達人』にいつも広告が載ってる)東京オプチカルというメガネ屋を見にいった。オシャレなメガネ屋風なのになぜかずっと阿佐ヶ谷のダイヤ街(線路にくっついてるようなショッピング街)で営業というのが気になったのだ。で、行ってみたら、すごく「町のメガネ屋さん」ぽくて一点モノのオシャレフレームを売ってるようには見えず、ということはもしかすると素晴らしいメガネ屋の可能性が高いと思ったんだけど、なんとなく踏み切れるものがなく、見ただけで帰った。そのあと時間があったんで、うさぎ屋に行ってみると当然どらやきは売り切れていて、うさぎ饅頭とみそ饅頭を買った。ここは店の雰囲気はとてもよい。アルバイトの店員さんとおぼしき女の子が、かわいいほっこりさんなのができすぎな感じなんだが、でもふつうに感じがいい人で、さらにあっさりしているので(ここ重要)よいのだった。

吉祥寺では近鉄裏の(たぶん)秋田料理店で、マカロニサラダといぶりがっこと銀だら焼きを食べてビールとあんずサワーを飲む。いぶりがっこがものすごく美味しかった。しかし銀だらもすごく美味しかった。ふつうならこっちがナンバーワンとなるんだけどいぶりがっこのパワーに負けてしまって銀だらは気の毒だった。

久住さんとはしゃべるのに構えることがなくてスラスラと話ができてとても楽しかった。最初の店の次に、久住さんの行きつけだったのがやがて吉祥寺のマンガ家の友達がみんな行くようになった、という五日市街道沿いの居酒屋に連れてってもらって、ぬか漬けとハタハタ焼きと焼きそばを食べ、梅酒ソーダを飲んだ。このぬか漬けが、よく漬かっていて、まるで炭酸のように口の中で酸味が弾けた。焼きそばがすごく美味しかったんだけど、ぬか漬けのスカッシュ的酸味のせいで焼きそばの影が薄くなってしまって焼きそばは気の毒だった。

久住さんの仕事場に、吉祥寺に住んでいるあるミュージシャン(私がとても尊敬している)が住んでるらしい、という話を聞いた。「このマンションなんです」と教えてもらったそのマンションは、私が中学生の時から行きつけだった店(何の店か書くと場所がばれる)の上の階だということがわかってものすごく驚いた。こんなところに、久住さんが仕事場を持ってて、♂♂さんが住んでいるのか。すごく古いマンションなんだけど、いい味のあるマンションなのだ。

帰ってみたらメガネがない。秋田料理屋さんに電話したらそこに忘れていた。翌日取りにいくと言って置いておいてもらう。東京オプチカルを見にいったのでメガネがひがんだんだろうか。

今日も都心に行って、吉祥寺に帰って、秋田料理屋さんでメガネを受け取ってからまたリンデに!
バームクーヘンとプレッツェルを食べる。バームクーヘンの美味しさは相変わらず異常なほどだが、セレクトに困ったあげく買ってみたプレッツェルの旨さにも驚いた。やはりドイツだ。日本にもインド料理屋と同じぐらいドイツ料理屋ができないものだろうか。食べてから、ロンロン(今はもうそういう名前ではないが)で晩ご飯のおかずでも買って帰るかと思ったら改装中で食品売り場がない。じゃあ中道通りで何かと思ったが何かこれと思うものがなくて煮詰まらないうちに道が尽きてきた(ところで今日は平日で雨なので中道通りはガラガラだった)。そこで見えたのが紀ノ国屋。そこで買い物したけど、すべてのものが高い。私はモノの値段とかあんまり気にしないのでこの異常気象で生鮮食品が高騰とか言われてもわからないのだが、ここはそんな私にもわかるぐらい高かった。イカリスーパーよりも高いと思う。

場外で

100427_1443~01.jpg

洋食の八千代でチャーシューエッグ定食をたべようと思ったがきのうの酒が残っていてなんとしても食欲がわかず。痛恨。

吉祥寺2

また今日も自転車で町に出る。
うちから町に出るとなるとまず中道通りの西の端っこから入っていく(水道道路沿いに行ってもいいんだけど水道道路じゃつまんないし……と思ってたら水道道路にすらいろんな店が出現しているのでたまげる)ことになるんだが、中道通りの西の端(ロジャーズの社長の家のあるあたり)なんて昔はただの道だったのに、もうそのへんから「吉祥寺に来た人」びとであふれている。なんか人が行列してるから何かと思うと「はらドーナツ」の店ができてて、えー、はらドーナツなんかに並ぶのか、東京の、吉祥寺に来るような人も、と思った。あのランクのあのテイストのドーナツならフロレスタのほうがうまい。フロレスタがここにできたとして、こうまで並ぶような気はしない。はらどーのほうがオシャレっぽいからな。所詮そんなもんでつられてきてるのである。四つ橋筋あたりにはらドーナツがあるけど人なんか誰もいないぞ。大阪のほうが進んでる。

中道通りをそのまま東のほうに向かって歩くと、もう息がつまってくるほど人が増えてくる。なんだこれは。途中、『CAVE』に寄ってカエル買いをしたが、CAVEなんていつ行っても常に私しか客はいなかった(たまたまか)のに、今日なんか他に5人ぐらいいてカエル物を買いまくっているではないか。CAVEのお姉さんはいい人なので、流行ってお金が儲かるのは喜ばしいことだが。

CAVEよりも駅寄りなんてもう、竹下通りみたいな有様である。よそから来てるとおぼしき人はやけにうわずってるし、地元の人とおぼしき人は「フフフ私はこんなところに住んでいてふだんからオシャレ暮らしをしているのよ」的に威張っている(ようにしか見えない)。こんな竹下通りみたいなとこに住みたいのか皆さんは。しかし竹下通りが至近にありながらもすぐ近所は閑静な住宅地で緑もあってというあたりが憧れられる主因なのか。

今日めぐったのは、ブックスルーエから、サンロードから北上してドイツパンの『リンデ』、ここでドイツの黒パンにはちみつとクリームチーズの分厚く切ったやつをはさんだサンドイッチと、ヌスエッケンというドイツ菓子を買ってアイスティーと一緒に食べた。私は西洋の中ではいちばんドイツの食が好きだ、ということを再確認する。固くて重くて緻密で濃くてじっくりとしたものが好きな者にとってドイツの食べ物はパンでも菓子でも料理でも味つけでもすべて最高。ただ、店でもらってきたメニューカタログによればすごくうまかったヌスエッケンは1つ食べたらカロリーが500超である。そのあと別の店で各種のものを買い、食い、すべて終わってから知った。

そのあと五日市街道を西へ向かって、『A.K.Labo』。ここもオシャレ極まりない店だが、なにぶんにも駅から遠いんで、それほど駅からはみ出してきた程度の人はいない。ただ、ということは、わざわざ来るほどのオシャレ人か、あるいは店の真ん前にある成蹊大学(同じ市内に住んでいてもまったく無関係だと思わせられた金持ち学校)の生徒やその係累(つまり金持ち)が客筋の大半なんじゃないかと思われ(邪推かもしれない)、しかしお店の人はたいへん感じがよくて、きのうのダンディゾンほどじゃないが、何か「いたわってもらっているから」なんじゃないかという気がした。ここで、ムラング・シャンティというお菓子とアイスティーを喫する。この画像でみるとシャレただけの小菓子みたいに見えるかもしれないが、実際はハッとするほど大きい。でかい私の手の握り拳より大きい。女としては相当にでかい大ちゃんの手の握り拳よりも大きいと思う。メレンゲはちょっとキャラメル風味で、クリームはちゃんと本物の生クリームで、やたら美味しかった。これを食べてる時はまだリンデのドイツ菓子の500キロカロリー超のことは知らなかったのだな。ところでこれはゲンコツみたいな形なので座りが悪い。お店の、可愛くてなおかつ感じのいい、けれどその感じの良さが何かあるんじゃないかという私の邪推を招いてしまうお姉さんは、これをショーケースから取りだして皿に載せる時、二回連続で皿の上にころんところげさせてしまい、天地逆になっちゃって、しかしゲンコツ状だから別に天地無用な感じだからいいようなもんなんだけど、その都度新しい皿をだし新しい物をお皿に盛ろうとして、二回目を失敗した時には「いいですよそれで」と言ったんだけど、恥ずかしそうに笑って三つ目の物をやっと天地無用にせずに皿にのっけて渡してくれた。天地無用になって横によけたやつはどうなるんだろうというのが、すべてを消化して空腹になってきた今、とても気になっている。それから、「いいですよ」と私が言ったのは、あまりにも自分が地位が低くマイノリティな気分になってしまっていたので、そう言うことでせめても地位を高くしたい、という気持ちがあったのだと、今となって思う。

そのあとはさらに五日市街道を西下して、『パティスリーヴィエノワズリーアオイ』(この店名はないよなあ)で、ネギとアンチョビのキッシュ(吉祥寺キッシュ、という名前なのが情けない)、ファー・ブルトン、バナナとナッツのタルトを買った。そしてまたぐるっとまわって中道通りに戻り、西の端っこのほうにある緑地みたいなとこにあるベンチにすわってキッシュを食べたのだった。長ネギというのはうまいですね。しかしいったいこの買い物で何キロカロリー摂取したのであろうか。

あ、朝ご飯は、きのうのダンディゾンのパンを食べた。あのオシャレすぎなところが敵だと思っちゃっているのか、それとも一日たっちゃったパンをあっためもしないで食べたからか、ふつうだった。というかそれほどでもなかった。というか、うまくなかった。いや、まずかった。

Home

検索
フィード
メタ情報

Return to page top