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大日貴

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サイリウムの晩

九州7県ツアー千秋楽

3月21日、博多サンパレスに『HKT48 九州7県ツアー 〜可愛いコには旅をさせよ〜』千秋楽を見にいってきました。

たーのーしーかったー!

と、こういう感想を書くと「ファンがコンサート見りゃそりゃ楽しいだろうよ」と思われそうなので書かないようにしてるんだけど、いろいろ考えて今回は大声で言うことにした。楽しかったー!

これは好きなアイドルをナマで見られたから楽しいんじゃなくて、構成と演出と出演者のパフォーマンスがよかったから「見てるだけで楽しくなれた」ということが言いたいわけです。2013年度、私が見たすべての舞台、ったって偏ってるうえに数も少ないですが、その中で最上だろうな。思わず演出家の名前を訊いてしまった。稙田成吾という、ジャニーズで演出振付してる人であった。うーー。そこか、そこなのか!
(ところでAKBGのコンサートには、会場で売ってるプログラムというものがないことが多くて、私の大好きな「スタッフ名確認−−−別にその業界に詳しいわけじゃなく、単に、ああ、こういう人がやってるのかと名前をまじまじ見るだけですが−−−ができないのが残念です。もうひとつ、みんながサイリウムとかペンライトとか持って振る&コールという応援形態なもんで、キメどころで拍手すると浮く。21日は構わず拍手バチバチしてたらお隣の人もつられてしてた)

会場が、松竹座と同じぐらいだった。間口とか。花道はないから近くに来るってことはない、と思ってたら、後ろ通路(いわゆる段上がり、よりさらに後ろの、二階席のすぐ下ぐらい)に、両サイド入口からフロート(身長ぐらいの高さ)に乗った指原とはるっぴがゴロゴロと出てきてたまげる。そしたら二階席、三階席の両サイド入口からも、さくらたん、らぶたんとかが出てきて歌うのでさらにたまげる。しかしこれを見て思い出すのは『2007年春のおどり』の日舞ですな。オープニングの総踊りで客席降りした時、二階席にも降りた(というか上がった?)んだよな。若先生のアイディアで。客席降りの時って二階席は置いてかれるから、そうならないようにって。でもさすがに松竹座の三階席までは降ろせなかった。しかしサンパレスの三階席にはメンが入れ替わり立ち替わりやってくるのであった。

で、松竹座と同じぐらいのハコで、出演者は松竹座より多いけど、出演者の技量はほぼ同等で、というと誤解をまねくかもしれませんが、「すげえなー」と魅了される部分と「あらら……アタタタ」という部分との比率が、双方似ているのです。で、HKT48は、そのアタタタをとても目立たなくするような内容と演出とキャスティングがしてあって、うまいなーうらやましいなーと思った。たまに出る「アタタタ」も、いいもん見ちゃった聴いちゃった、ぐらいのトクした気分だ(めるたんの松田聖子などまさにソレ!)。でもちゃんとみんな「渾身」ですからね。

舞台装置は、据え付けの階段セットがどーんと置いてあるから舞台面は狭くなるはずなのにあんまりそんな感じじゃない。セリもなけりゃ盆も回らない。なのにけっこう動きを感じる。あー、あれだ、六本木の『金魚』(ニューハーフショーやってるシアター。やたら舞台が上がったり下がったりヒナ檀みたいになったりする)見てるみたいな、見えるはずのないナナメ上から舞台を見てるような気にさせてくれる、そういう動きになっていた。彼女らのダンス力や振付で、ただ舞台で踊らせてたら見ちゃいられない(だろう)という問題点はきっちりクリアしててこれもすげえと思った。

そして何よりも、楽曲。

曲がいいんです、HKT48は。そりゃすべていいわけじゃなくて中にはイマイチの曲もありますが、基本のラインが「明るくてカラッとしててポップでキュート」。そのデキがいい! これはもう気分はアゲアゲですよ! それをあんなにかわいいらぶたん以下HKTのメンが歌い踊るんですから。まー、今、AKBGでいちばん可愛い子を取り揃えてるのもHKT48ですからね(と断じる)。衣装も可愛くてよかった。黒いミニドレスなんて、こういうのでチェリーガールズやってくれよと思ったからなあ。

で、家に帰って、なんとなく、『2013春のおどり』を見たくなり、DVDをじっと見る。日舞も洋舞も、オーバーチュアが素晴らしいんだよな。とくに日舞のほうのオーバーチュア。三階席で開演を待っていると、開演アナウンスがあって、チョンパにそなえてすべての場内の灯りが消える。消えるんだけど、オーバーチュアのあいだ、三階のさらに上にある音響の部屋の機材のレベルゲージだけが緑と赤にチラチラと光っているのを見ているのが好きだったなあ。と、そんなことを思い出していた。去年の春のおどりは、たぶん21日のHKTの次に良かった公演だけど、でもたぶん差は大きい。それは結局は金の力の差なのか。いやそうじゃないと思うんだけど。

辻占煎餅

OSKのOSKらしさの芯は“渾身”であるという。私もそう思う。でもそれは「そう言うしかないからなんじゃないか」。
OSKらしさは“渾身”からくるものだとすると、他の団体には渾身がない、あるいは少ない、薄い、ということになる。

このことに違和感がある。よそだって渾身でやってるだろう。宝塚だってきっと渾身でやっている。いや、いかにもテキトーにフラフラやってるのが後ろのほうにいますよ、と言われたことがある。なるほど。宝塚にはそういう人もいるだろう。それならOSKにもそういう人はいる。芸風は違う。志向も違う。しかし同じように渾身と気抜けの混淆で成り立っている。

桜花ちゃんのディナーショーがあった。たぶん最後のディナーショーで、これを見終わって私は「OSK90年の歴史に誇るトップスターだっていうならもっと金かけて(食事のことではない。……いや食事もすごくて何年か前にあった堂島ホテルのディナーショー“越え”だったけど)つくってやってくれよ」と泣きたくなった。しかしそれとは別にひとつ、腹の立ったことがある。

娘役2人、男役1人の3人で歌い踊る『恋するフォーチュンクッキー』。『恋チュン』は良い曲である。良い曲であり、売れていて、みんなで揃える簡単なフリがついていて、これのフラッシュモブのムービーがyoutubeに山ほどアップされている。ダンス自慢の人もやるし、どっかの会社の踊ったことないような人もやる。もちろんAKBGもいろいろなバージョンで踊る。じゃあこれをダンスのOSKがやるならどうなるんだ、とイントロ聞いた瞬間、身を乗り出した。しかしそのあとに続いたのは、テキトーな、ディナーショーの軽いワンコーナーなのでへろへろやってみましたよ〜本気出すまでもないっしょ〜〜……みたいなダンスと歌でした。

あんまり舐めたことをしてくれるな(泣)。

AKBのライブを何回か見ているが、OSKよりずっと渾身だ。それは比べられないとか、それは振付が違うからとか、それは口パクだから、とか言われても困ります。そこじゃないので。私はももクロは好まないけどもももクロだってOSKより渾身だろう。知らないアイドルもグループも劇団も人知れず渾身だろう。

OSKにおける渾身とかいうのは、単に「物理的に恵まれてませんので提出するものがお粗末です」を別の言葉にして言い訳してるのだ。…………いや。OSKは確かに渾身の魅力はある。あるのは知っている。しかしそれが持続しているとは思えない。私が現在、OSKに感じているOSKらしさというのは、もっと即物的な、音楽の趣味かキャスティングの趣味か衣装の趣味か……そういうものになっている。それの面で「OSKが好きだ」ということは変わらない。でも渾身の魅力も見たいんだが。

眼科画廊

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保護中: カルディアの鳩

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すぐ謝る。

上田久美子先生ごめんなさい。演出が平板とか脚本が平坦とかいって申し訳なかった。今となっては「上田久美子先生の『翼ある人びと』の、いかにちゃんとしてるか」がよくわかりました。

宙から雪

『翼ある人びと』をシアタードラマシティに見にいってきた。一にも二にも、作・演出の上田久美子作品をこの目で見たかったからです。だってすごい評判高いんだもん上田先生。バウデビュー作が異様に評判よくて、これが2作目。でもって、好きな(会いたいだっけ)アーティストが会田誠ですって。え! 『犬』とか、ああいう世界を「好き」だと公言する、という、これは宣戦布告された気がして(いや、されてません……)「ぜったいこの目で見て批評するぞ!」と思ったんです。

で、オープニング見てすでに「うっ」となってしまった。主がいなくなったらしき家で引っ越しが行われている場面で、一人の老嬢がピアノをぽつんぽつんと弾きながら、引っ越しの指図をし、そして「彼がやってきたのはこんな秋の日のことだった……」とかなんとか、そんなセリフから、時間がわっと舞い戻って舞台が動き出す、という、よくあるといえばある始まり方。それはいいんです。私が「うっ」となったのは、その老嬢のセリフ回しですよ。
「これだよ!」
私が思い出してたのが『アッディーオ』の、オープニングに出てきた、修道院の老修道女。芝居の構造のカギになってる役で、ヒロインのリーダの、年老いた姿でのセリフから時間が戻って……と、これまったく『翼ある…』と同じですが、その老修道女、ヒロインですから牧名さんがやっていた、あの老修道女の演技が私は気に入らなかった。老婆の演じ方(声とか、仕草とか)が受けつけなくて、その後なかなか物語に入っていけなくて、見終わってからも「あの“婆さんコント”みたいな演技はないよ(泣)」と嘆いていたのである。もっとさらっとふつうにやればいいじゃん!と言ってたのだ。
このオープニングの老嬢の演技! これだよこれ! こうやってくれればよかったんですよ! 演者はすみれ乃麗さん……2006年入団ですか……真麻と同期か……まだ若いよなあ……いや演出や演技指導の問題か……。
ここでけっこう「がーん」となって、そこから幻想のダンスシーンになって、ここはまあよくある場面で、でもそこからの流れが「流れるようにきれい」(場面の絵ヅラはもちろん、セリフの美しさややりとりが流麗)で、「これはできのいい芝居」と思ってひきこまれた。主役の朝夏まなとは、まゆゆが大ファン、ということで知ってたが写真で見てもあんまり好みとちゃうなあ、銀英伝でも記憶に残ってないなあ、という人だったのにドラマシティは箱が大劇場より小さいせいか間近に見えてキレイである。2番手の緒月遠麻は、これは紛うことなく私の趣味じゃないルックスの人なのに銀英伝で見たらこの人ばかり記憶に残ったという人で、それも「舞台上のこの人(が演じる役)は“いい人”に見えて素敵」という、役者としてはすごい魅力を持った人です。って、銀英伝とこれの二つしか見ないでの感想ですが。そしてヒロインのクララ・シューマンが、文句つけようのないキレイさで圧倒された。怜美うららさん。え、2007年入団……。えっ……。でも歌い出したら「あららら」でした。まあ一つぐらいは弱点も見せてもらわないとこちらとしては立つ瀬がないですわ。まあ見た目と芝居は素晴らしかったですから。宝塚見て思うのは、ヒロインが、学年若い割に落ち着いた発声で落ち着いた芝居するってことです。OSKってこれが案外ないよな。

音楽が、なにしろクラシックの名曲をモチーフにしてるのでモトがいい上に、アレンジがいい。音がいい。衣装も美しい。舞台装置も簡素ながらセンスいい。

敗北感にしおれそうになりながら見ていたが、やがて「これ……長くない?」と思い始める。いや長い。これ2幕って言ってたよな? なのにまだ1幕で、それも終わる気配がないのだ。1幕の途中ぐらいで「これ、一時間モノの芝居だったらすごく素晴らしいんじゃないか」と言いたくなった。最後まで見てもその思いは変わらず。
そして、「これ、セリフは美しいし、流れはいいし、破綻はないし、全体にキレイだけど、芝居の構造として平坦すぎやしないか」という思いも募ってくる。
『女帝を愛した男』のあの長さを思い出す。長所も、短所も似ている。とはいえ、あれらよりは確実に『翼ある……』のほうがデキはいいけど。美しいし泣けるし、しょうもない場面も(なくはないが)少ない。作者の、読書量の豊富さみたいなものが感じられるのだ『翼ある人びと』は。人を感動させるポイントを、さりげなく、的確に仕込んであるのが、「教養の発露」によるもの、みたいなの。そして、趣味の良さがあふれ出ている。さらに、(この作品では隠し気味なんだろうけど)ちゃんと悪趣味も心得ている。けれどダサくはならない。素晴らしいじゃないですか。でもストーリーとしては平坦で、芝居の構造はありきたりで、演出も、場面転換がけっこう凡庸で、拍子抜け。この脚本と演出でOSKでやったとしても文句は言っただろう。とはいえこれデビュー2作目ですよ。OSKの、いいトシした作演出陣よりマシなことされてしまうというのは……(泪)。

それとは別に、これを見て私は、宝塚歌劇を受けつけない、ということを再認識した。宝塚には宝塚特有の香りというか匂いというか体臭というかスパイスというか、そういうものがある。それが私は嫌いなのだ、ということがわかった。たとえば、歌劇の芝居で大好きな(OSKも大好きな)酒場の場面、酒場の女主人の描き方が、宝塚とOSKでは違っている。宝塚が娼館のマダム風になり、OSKはジプシー(今はロマですね)風になる。宝塚の、脇にいる男役の芝居(台詞回し)のクセの強さ。OSKの脇の男役の芝居はけっこう自然風味。こういうのは、どっちで育ったかで受けつけるか拒否反応が出るか決まるんだろう。
場面でもそうで、酒場の群衆場面、貴族の館の場面、そういうのって、宝塚は「当然やるべきもの」として常に配備されていて、必要なくても場面つくってるんじゃないかと思わされることがある。いや、今日の公演見てはじめてそう思ったんですけどね。今日の芝居のストーリーだったら、別にいらないであろう群衆場面がむりやりくっついてるように見えたので。そうだ、エリザベートの場面を持ってきてくっつけたような唐突感があったんだよなあ。
そこで私が思ったのが、「上田先生、OSKの少人数芝居をやってみたらどうなんだろう」ってことで、「宝塚だからやらなければいけないとむりやりやった場面」がOSKなら必要なくて、それに芝居は一時間ちょっとだから、上田先生がやりたいことの粋が表現できるのでは? と思ったりした。なんか、今日の芝居見てたら、大劇場の芝居になったらもっとありきたりのたいらなもんになっちゃうんじゃないかなーという気がしたので、それなら大丸心斎橋劇場のOSKはどうですか、ってことなんですけど、まあ引き受けてはくれないでしょうね。

 

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