黄金町の女王

飛行機と電車と劇場の待ち時間に読むように持ってきた『愛と憎しみの新宿』。
ちょうど今日、ホテルに入って風呂に浸かっている十数分で読み終わった(って書くと全部で十数分で読み終えることができる本みたいだ。ちがいます。飛行機で読んでサンダーバードで読んで劇場の待ち時間で読んで、ホテルに帰って風呂で読み終わったってことです。……わかるか)。今、五十肩で治療中でなるべく患部を湯につけて動かすというリハビリを医者に勧められたので、本を読み終わるまでじっくり肩を浸けられてよかった。
病院では老人と並んで電気治療もやっており、その病院では老人のケアセンターみたいなのもやっていて、電気を当ててると遠くの部屋で老人が「たき火だたき火だ落ち葉焚きー」とか歌わされているのが聞こえてくる。こんな歌歌って楽しいんだろうか。といって私が老人になった時に「さあみんなでユーミンさんを歌いましょう」とか言われても困るわけだが。
私は「浪花の空に桜が咲いて〜」とか歌いたい。でもその曲を知る老人仲間は少ないだろう。

話がそれた。
その『愛と憎しみの新宿』。読後感は「いやだなあ」で、私は新宿は子供の頃からいちばんよく行った繁華街だし好きな場所だけど、「ある特定の場所に特定の思い入れ(それも文化的な)(それもサブカルチャー方面の)(それも自分がマイナーであるという自意識のもとに書かれた)をした文章」が嫌い」なので、この本も「なんかいやだなあ」と思ってしまった。でも、その、私のキライであるところの、その「土地にまつわる特殊性や特権や文化」みたいなものって、大ちゃんが生きていくのにはもっとも居心地のいい場所なんじゃないかという気が、読みながらしたのだった。

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