橋よ橋

東京會舘というと芥川賞直木賞の受賞パーティで有名ですが私はNARグランプリの会場として初めて行ってそれから何年かそこでの授賞式に出席した(偶然みたいだけど今日、NARグランプリの日だそうです)。授賞式に行った時はドキドキした。安藤勝己がおりましたからね。あと、吉田(勝彦)さんと最初に会ったのも東京會舘の授賞式前のロビーだった。船橋の川島調教師の紋付袴姿を見て驚愕したのも東京會舘だ。思い出がいっぱいある。あの頃、NARグランプリの表彰式に行くのって本当に楽しみだった。やがてNARも予算がないからか会場が目黒雅叙園に変わって、そっちに出てみたらパーティの食べ物がいきなりものすごくまずくなったのに驚いた。今でもおぼえてる(というか恨みに思っている)のが「メインの料理が酢豚で、サラダを構成するものがレタスとわかめ」だったことで、授賞式の間から何か酢豚っぽい香りがただよっててイヤな予感がしていたのだ。雅叙園だから中華でもいいんだけど、うまくなかったら納得がいかない。今思うとバーミヤンよりもうまくなかった。といっても私はバーミヤンは中華料理屋として相当美味しい店だと思ってるからバーミヤンより劣るのは別にそれほど不名誉なことでもない(あとジョリーパスタっていうのも相当にうまい店だと思う。中華の話じゃないけど)。それでも、あの有名な雅叙園なんだしさあ、とやっぱり思うのです。あ、そういえば「雅叙園観光ホテル事件」てのがあったな。雅叙園とまるで関係ない雅叙園観光ホテル。
なもので、雅叙園によって私は東京會舘の食べ物の美味しさを知らされたのです。安藤勝己や宇田川淳を横目で見ているという味もわからないような状況で食べてた立食の食べ物の美味しさがあんなに脳に刻み込まれるというのはすごいではないか。ところで私は、小説なんか書けないんだけど書きたい小説があって、『競馬探偵宇多田淳シリーズ』といって、全国の地方競馬場で起こる事件を、謎のジャーナリスト宇多田淳がズバズバと謎解きをしてそれがほとんど間違っているという小説で、でもこれは坂口安吾の小説のマネだ。さらに宇田川淳という男を知らないと面白さ半減だ。それに宇田川淳に告訴される危険も高い。最初の事件というのは実況アナウンサー殺人事件で、レースが終わっても実況室から出てこない。おかしいと思って入ってみると死んでいる。警察が死亡推定時刻を出したら、アナウンサーが確かに実況していたはずの時間にはもう死んでいた!さあこの謎をどう解く!という事件です。

日曜日の東京會舘のディナーショーが発表された時に私は「私は留守番してるから自分いっといでや」と夫に言ったのであった。私はOSKのディナーショーはあまり好きではない。好きだったなーと思い出せるのは2006年のクリスマス前にアウィーナでやったやつぐらいかなあ。あれは曲がよかった。振り付けと衣装も悪くなかった。今回もいいかもしれないではないか、と思えたら行くとこだが、そう思えなかった。チケット代はいいとして、飛行機で往復したら5万円コースでっせ。ちらっと迷ってすぐ、行かないことにしていた。なのでこないだ大阪から帰ってきて夫の顔を見て開口一番「あのー東京會舘のディナーショー見にいってもいいかな」と言ったときの夫の高らかな嘲り笑い。「実に面白い結末やな」と事あるごとに嘲笑されイヤガラセを受ける。しかしそうされても私はうぐぐと黙るしかない。朝令暮改でいきなり東京まで行くことにした理由は一にも二にも「そのディナーショーを大貴さんが見る」からである。客を見に行くのか。そういうわけじゃないですよといくら言ったところで結局はそういうことだよなあ。なお、行きたいばかりに、寝られなくてぜったい苦しむとわかってるのに(私はどこでも寝られるのだけどそれは「フルフラットな場所である」のが必須なんです。それなら下がジャリで枕が石だって大丈夫だけど、夜行バスだと椅子はフカフカでも180度倒れないから輾転反側する)、安さにつられて夜行バスで行くというこのヤル気。その夜行バスが「途中、徳島で乗り換える」という聞いたこともない夜行バスですよ。それでも行くのか東京へ。思い出の東京會舘へ。

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