夏にはソーダ水が必要なのに2

きょう南座に行き、帰りに鶴橋で焼肉食べてきました。
行こうと思ってた店が、営業中のフダかかってんのに入っても誰もおらず呼んでも出てこないので、しょうがないから知らない店に入った。店の外観だけで選んだ店だったが、ここが良かった。肉の盛り合わせ(ロース、カルビ、ハラミ、タン)とキムチ盛り合わせ、ナムル、チシャ、冷麺。最初にキムチ盛り合わせが出てきて、白菜のを一つサクッと噛んだ時に「はっ」とした。これは旨い。辛くない。辛いものがキライってんじゃなくて、『美味しんぼ』で、日本でキムチ食った韓国の新聞社の社長が「ぬう、このキムチは辛すぎる」と言いましたように、日本のキムチはガリガリに辛すぎる、ことが多い。この店のは、辛いが辛すぎず、きちんとした旨味があり、それでいて白菜はサクリとフレッシュな感じがあって、とっても美味しかったのです。

キムチが美味しかったので期待したらきっちり応えてくれました、肉! タレにまみれたやつが銀皿に載ってきて、こういうのは往々にしてやたら甘ったるく、『美味しんぼ』で海原雄山が「ぬうう、なんという鈍重な味だ」と言いましたような、園田競馬場門前の激臭ホルモン焼きのタレみたいなことになったりしますが、ここのは甘いのが「うまい」とルビを振りたくなるような。甘さがぜんぜんくどくない。甘さ、しょっぱさ、しっかり味はついているけど肉の味を消してしまうようなことはない。つけダレも丁度いい。

冷麺もナムルも同様に美味しく、とてもアタリの店に入れてよかった。
で、じゅーじゅーやりながら考えたが、これは名倉先生だなあと。名倉先生のつくった春のおどりの洋舞。名倉先生の調理法。焼肉でもアジフライでももんじゃ焼きでもコンソメ・ロワイヤルでも桜鯛のお造りでもなんでもいいが、名倉先生の調理はこういうことだろうなと。ちゃんとした素材、素材を生かした味付け、包丁のキレ。

今回の二部を私がどうも好きになれないのは、「なんでもフリカケふりかける」ようなことになってるからです。皿の上のあらゆる料理にフリカケ。いや、フリカケそのものは凝ってんですけどね。のりたまとかじゃなくて。でも化調入り。

ところで今日が初見だという友だちと、幕間にしゃべっていた。一部を見終わって呆然としたような顔をして、
「これってさ、昔やったのの再演なんやろ?」
「うんそうらしい」
「……。なかったんか。他になかったんか。もう少しマシなんが!」
「なかったんちゃう」
「そんなら高世がやってたライターに脚本頼めよ。それでもまだマシなんちゃうか。音楽もついでに頼めよ。著作権もそれで問題ないで!」
「でも蒼音のやってたインド人もびっくり監督にはプロデュースさせたらいかんな」
「脚本料は払わないとみた」
「土屋アンナ事件のプロデューサーを思わせるなかなかタイムリーな役やった」
「しかし……なかったんか。他になかったんか。もう少しマシなんが!」
なかったんちゃう、としか……。

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