炎場

今日やっと大丸心斎橋劇場で『CONNECTION』を見た。
先斗町で『炎舞』のほうだけは見ていて、こりゃひでえ作品だなと思いつつ、OSKなんていつもこんなにひどい作品ばっかやってたじゃん、今年の春と夏の洋舞なんてほんとにひどかったし、あれよりはまだマシなんじゃねーのか、と思ってたんだけど今日、2回目を見てみて前言撤回。ひどい作品である(今年の春夏の洋舞が相当にひどいということに変わりはないので、さらにそれよりひどいということです)。
で、『CONNECTION』ですが、これを見て私は長年OSKの作品およびその作者について抱いていた疑問を解消した。

長年の疑問とは……
(以下は、ショーとかレビューについての話である。私は、今のOSKはレビューはできないと思ってるのだが……それは長くなるのでまた別の機会に)

「作・演出の人は、現代を見ていないのか」

ということであった。(アリモノの音源ということを抜きにしても)もう聞き飽きたような曲を選びありきたりの使い方しかせず、(アリモノの衣裳ということを抜きにしても)古くさい着こなしでだっさい飾りの衣裳を着せ、場面と場面はジャーン→暗転でつなぎ、へんな小芝居を入れながら踊ってるという、こういうショーをつくる作者は、たとえばテレビで、ミュージシャンのライブ映像見たりとかしないのだろうか。アイドルのライブでもいいよ。こういうショーをおやりになるのは、だいたい宝塚のOGとか、宝塚好きとかの人なので、それじゃあ宝塚でもいいから、最近の公演見にいってないのか? 風男塾のPVでもいいよ。好きなら見るだろう。こんなことはどこでもやってないよ。何見てるんだ、と各先生たちの肩ゆさぶってききたくてしょうがなかった。
これは趣味の問題ではない。それ以前の話である。カネの問題でもない。予算がないからそうなるのだ、ってことではない。例えて言うと、すでにMDすら廃れ、ほとんどの人がmp3で音楽聴いてる時に、「深い意味もなくカセットテープで音楽聴いてます」みたいなショーをつくってるのが、ほんとうに不思議でしょうがないということなのだ。あえてカセットなんだ、というショーなら納得もするが、「単に、カセットの不便さ不自由さ古くささだけがバレちゃってるショー」なんですもん。オーソドックスなのと古くさいのとは違う。

『CONNECTION』は麻咲梨乃が作・演出・振付で、麻咲先生は振付家であって演出家ではない。しかし宝塚や帝劇でずっと振付をしていて、たくさんの「現代のショー作品」を見ている人で、こういう人がどういうショーをつくるんだろうかと思って見てみたら、なんだ、ちゃんと「現代のショー」じゃん。カセットテープじゃない。音楽の処理も使い方も、場面のつなぎも照明も装置の動かし方も、ふつうにまとも。ちゃんと「今」ではないか。いやいやいや、ショーをつくろうという人なら、ふつう、当たり前ですよね、今を見るのは。今を見て、今を表現する。レトロでも近未来でも古代でもなんでも、出発点はそこだ。

OSKがこれから現代に生きる劇団としてやっていくなら、「デフォルトでこのレベル」のものでなくては先はない。今回の『CONNECTION』は私の趣味ではない。好きじゃないモチーフもあるし、好きじゃない音楽もあるし、でも今までがまともじゃなさすぎたのでこれが光って見えるという哀しいお話しなのだった。これがデフォであるなら「あのしょうもない説教はナイよなー」とか「あのDJのたたずまいはナイよなー」とか文句たらたらのはずだが、しかし今回は麻咲先生ありがとういろいろな疑問を解消してくださってありがとうございましたと深くお礼を言うしかないのである。

私は春夏の洋舞を見て、担当の先生には5年ぐらいは出てこないでほしいと思っていた。しかし今回『炎舞』を見て、さらに『CONNECTION』で「ショーにおける最低ライン」が見えてしまい、5年じゃなくずっと登板しないでほしいものだと思った。いや、それは『炎舞』の先生だけじゃないのですけれども。

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