桜花王

桜花昇ぼるファーストコンサートについて、見た人といろいろ話をしていた時に、「何があってもあの時のあれがあるから、みたいな拠り所」というコトバを聞いてハッとなった。そういうヨリドコロがあるから何かを信じて(信じたくて)それを見続ける、というのである。

たとえばHKT48については、九州7県ツアーの福岡サンパレス夜を見たことと、KIVのシアターの女神公演を見た(いつのだ)のが拠り所で、音楽でいうとEGGPLANTでボアダムズを見たのとアザーサイドでアフターディナー見たっていうのが拠り所な気がする。じゃあOSKでは? 2004年の松竹座秋のおどりと2006年秋のおどりの日舞と2007年春のおどりを見たことだろう。それが心の拠り所となってOSKを信じている。一つにしぼれというなら、「OSKが最高に美しかった時」の2004年秋のおどりでしょうか。2004年の秋の桜花ちゃんの顔が大好きだった。

桜花昇ぼるファーストコンサート第一幕で、“You Do Something To Me〜ララバイ・オブ・ブロードウエイ”を歌う。ここが2004年秋のおどり第二部の『ニューヨークの秋』の音源を使っていて、「これは感慨深い、いろんな思いがぐるぐるするぞ!」と思ったら案外そうでもなかった。それよりも『桜花抄』のほうがじわっときた。『桜花抄』は次の世代の松竹座作品で、私はその次世代には文句ばっかり言っているけれどちゃんといい曲だってあるのだ。あたりまえのことに今さら気がつく。

このコンサートの、二部のほうはちゃんとつくってあったけど私にひっかかる曲が見事に一曲もなくて、それもまた桜花ちゃんらしいなあというか、私がひっかかるような曲をやるほうが驚くかもしれない。一部ではOSK時代の曲が並べてあり、途中で秋月さんの鶴の舞の話(BGMつき)をしはじめて、何かあるかと思ったらぶちっと終わって何もなかったように次に行ったので思わず「エエッ」と声が出た(^_^;)。これ、きっと桜花ちゃんが、どうしても秋月先生のお話を入れたい、と強く願ってのことなのではなかろうかと勝手に想像している。ここはひとさし舞ってもよかったんじゃないかな。白装束じゃなくても、黒燕尾でも真っ赤な変わり燕尾でも、たとえ大羽根背負って金襴緞子でも鶴、それでも良いのが桜花昇ぼる。

見終わってからしみじみと、OSKで、退団してからも舞台で活躍する人は桜花昇ぼるただ一人だろうなあと確信する。真琴つばさがトークで言ってた、『わが歌ブギウギ』で奥さんになったユリーを見て「ほんとにきれい、すぐ女優さんになってやっていける」って、その当時、私もだんなもMちゃんも揃って同じこと言ってたよ! 真琴つばさ話が合うよ! って誰でもあれ見たらそう思うよね。明治座で細雪の妙子役とかやりながらシャンソンのコンサートを開く桜花ちゃん。見てみたい、んではなく、たぶんやっている。同時に講談でEテレのサブカル番組にレギュラーで出て、春夏秋冬真田幸村もやってるな。全力で。

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