REVUE JAPANと日本の祭り

ふたり

 
おととい、角座に新しくなったレビュージャパンを見にいって、見終わったらただちにこんなツイートをしてしまいました。

前のレビュージャパンは、道頓堀角座のと、心斎橋角座のやつを見ている。虹架さんがセンターのと、翼くんがセンターのだ。あとのメンツのは動画で見た。で、「レビュージャパンはもういいか……」となっていた。念のために言っておきますがこれは出演者のことではなくて作品の話です。

前のと、今のと、何がどうちがうか。内容はすべて変わったわけだが、製作コンセプトとしては「洋楽で、きらびやかな着物で、日舞。外国人観光客にもに楽しんでもらうことを目指した参加型日舞レビュー」。目指すところは同じ。両方とも、有名な日本舞踊の先生が構成振付演出をしている。ナンチャッテ日舞ショーでは断じてない。それでどうしてこう、受ける印象が違ってくるのか。それは、「志向する祭りの違いだ」という仮説をたててみる。私は今、徳島に住んでまして、阿波踊りの地元です。で、同じ四国には高知のよさこいというビッグネームもあってそっちも身近になった。そしてわかったことがある。

(……って、ちょっと話それますが、阿波踊りというと「えらいやっちゃえらいやっちゃヨイヨイヨイヨイ」「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損々」てのを皆さん思い浮かべられると思いますが徳島で阿波踊り見てもこれほとんど、たぶんいちども聞いたことない。「ヤットサー、ヤットヤットー!」がほとんどです。徳島人となって驚いたこと、どうでもいい豆知識でした。話がそれましてすみません)

「阿波踊りはビジュアル系には向かわない」

よさこいは向かう。よさこい祭りの中には正調のやつも当然ありますが、主たるものは今風に進化(というか変化)がガンガン入っていってる。化粧に髪型、玉虫色に光るラメやスパンの衣裳に髪飾り、音楽に振付。ビジュアル系というか、最近の北九州の成人式系というか、それはムリもない。よさこいソーランの隆盛に見られるように「世間はああいうので盛り上がる」んですよ。

一方の阿波踊り。あれだけメジャーで、若者もいっぱい参入していてグループ(連)単位でしのぎを削ってるわりには、衣裳もほぼ昔ながらのもので、他の連と差別化するといえば反物の色とガラぐらい。女踊りは浴衣着るんだけど、スソをからげてお腰を見せるという着方、というとなんかチラ見せ的なこと思い浮かべるが実際は真逆。ガッチリ装備してる。

女踊り

それで踊ってもぜんぜん着崩れないし(どんな若い子でも着崩れないのが、私には「すげえ」と思う)、足袋に手甲で露出を極限までおさえてる。じゃあ、浴衣の色柄で勝負!となっても、それが決してラメやヒカリモノ方向にはいかない。ラメはダメ!という伝統の圧力がかかってるという話も別に聞かない。それで、ものすごく盛り上がる。クライマックスは総踊りであるが、隊列をなして統制取れているように見えても、マスゲームっぽさはない。各自が自由に見える、でも揃ってる、という不思議な祭りなのだ。

……その後、各地の祭りのこと考えて思いついた。「編笠かぶる踊りはビジュアル系進化を拒む」。風の盆も佐渡おけさもそうじゃん! ビジュアル系風の盆とかないよ!……と自分の発見が素晴らしいと一瞬思ったが、よさこいにも編笠かぶってる正調のやつがあるらしい(´`;)ダメじゃん ……ええと「編笠を脱ぎ捨てることを厭わないものはビジュアル系に向かう」と言い直すか。もとよりテキトーな印象論ですんであまり信用しないでください。でも実感としてとてもしっくりきている。あの笠って、アンチャンがカッコつけるのには不向きだ。(……ええと阿波踊りでも男踊りは編笠かぶらんないんですけどね。でも女踊りで編笠を脱ぐのは見たことないです)

などとごちゃごちゃ逃げをうちつつ言うと、今やってる新しいレビュージャパンは阿波踊りの路線で、前のレビュージャパンはよさこいの路線だ。新旧くらべてまずパッとわかる違いって、「衣裳」「見た目」だと思うんですよ。前のレビュージャパンのビジュアルが私は嫌いだった。獅子の頭の内側にスパンコールついてたり、花魁が持ってる団扇が、アイドルの推し団扇みたいなギラギラチカチカなやつだったり、着物もやたらラメラメしく飾りたてられていた。娘役の鬘もなんかヘンだったし(胡蝶と、花魁のとこの花魁じゃない子の日本髪みたいなやつ)。外国人にも受ける日舞、っていうんで光らせたんだろうか。うーん、気持ちはわかるが、金襴とスパンコールはちがう…。

そして、花魁と侍や、獅子のところでも、個人が見せ場をつくろうとがんばる方向が「イキリ系」になっていくんだな……どーしても。花魁の変化&戦いや、獅子の毛振り、という内容を若手の男役がやったらそうなっていっちゃうだろうし、それがわかりやすいカッコいい、となる流れも、よさこいと同様に理解はできるが、私には「ちょっと、むり……」でした。

新しいレビュージャパンは、前のが好きだという人には、地味と感じられるかもしれない。着物も髪もそんなギラギラしてない。侍が着物にブーツ履いてますが、このあたりは「往年の武生公演の前半の日舞」っぽくてOSKの歌劇っぽくて、一種のキワモノなんだけど懐かしくてつい許す。素頭着流しの民謡メドレーも「ザ・OSKの日舞」、これを伝統と言わずして何を言う。花魁と侍の場面が、前は「妖怪退治譚」だったのが今回は「恋愛成就譚」で、そりゃ変化著しいわ。

恋愛成就譚

オープニングとフィナーレは、烏帽子狩衣の公達に袿という装束で、あんまりこの時代の衣裳は好きじゃないんですが(^_^; 美しく優雅。それだけにハッタリはきかないというか、難易度が高いんではなかろうか。愛瀬くんはそのへんの難しいところをサラリとやっちゃっていますが、そのサラリというのもいいですね。ところで新しい新しいレビュージャパンのほうがインバウンドを意識した作品だという意見をいくつか見たのですが、そのへんはよくわかんないなあ。蜘蛛の糸投げるほうが外国人向けじゃないんだろうか。能の海外公演は必ず『土蜘蛛』とか『葵上』持ってくじゃないですか。蜘蛛の糸と、あと般若ね。そのへんでわかりやすくアピール、と。その意味で、前のレビュージャパンのほうがそっちを向いてるのかなーと思ってました。

愛瀬&千咲は、幸せそうなカップルなのが良いです。千咲さんが手作りしたという髪飾りを写真撮影コーナーでお客さんに紹介してるとこも、「自慢の若妻の手作りアクセサリーを、よくできてるでしょう!と同僚にうれしそうに紹介する新婚亭主」みたいで、「いやもうあてられちゃってまいるね!」とニコニコしちゃいましたよ。

ツマ自慢