#劇はじ の可能性とこれからのHKT48(前)

劇はじ

HKT48がオンライン演劇をやるプロジェクト『HKT48、劇団はじめます。』を見た。見て、わりと思うところがたくさんあったので書きます。
 

AKBグループ出演による2019年博多座『仁義なき戦い』が「今後十年後に至るまでたぶんNo.1演劇」と豪語してはばからない私としては、見ないわけにはいかない重大イベントではないか。しかしなんだかどうも気合いが入らなかったのである。申し訳ない、理由はごく表面的なことで、「#劇はじ」という略称が「激恥」みたいで足が止まった。そんなことで! いやネーミングってけっこう大事よ……。プロジェクトには2ユニットあり、

TEAMごりらぐみ
TEAMミュン密(みゅんみつ)

ミュン密はともかくごりらぐみ……聞いた瞬間に思い浮かべたのは「村重がギャグをやりまくるサムイ芝居を見せられるのか」。ほんとごめん。でもこれネーミングもうちょっと違ってたらもっと食いついた人いるのでは。そんなわけで私は初日じゃなくて二日目に見た。

このプロジェクト、

「HKT48、劇団はじめます。」通称 #劇はじ は、企画・プロデュース・脚本・演出・衣装・美術・音響・映像・配信・広報・出演を メンバー自身が担い、オンライン演劇をつくる前代未聞のプロジェクト

コロナ禍に誕生したスクリーン上で上演する「オンライン演劇」は、演劇と映像それぞれの表現が組み合わさった、新時代の表現

そんな未知の世界へ、メンバーたちは、これまで培ってきた経験と知恵を振り絞り、挑む

っていうんですけどこれもまた雲を掴むような説明で、企画と脚本と衣裳は、彼女たちが手がけるというのはわかる。デキはともかくとして完成はさせられるだろう。美術、音響、映像、配信、広報も、まあわかる。出演は当然わかる。でもプロデュースと、なにより演出ですよ、演出。それもオンライン演劇の演出。演劇の世界をちょっと知ってるつもりの自分でも「舞台の演出」ってものがどれだけ難しいか、……いや、そもそも「演出って何よ」。あらゆるやり方があって、それが「どれも正解で、どれも不正解」という世界である。舞台の制作やってた人が言ってたことでとても納得いったのが「演出家は最低限、図面ひけなきゃダメ」、つまり、

舞台および舞台装置や盆、セリの平面図、立体図、展開図と動線が頭に入っていてそこに人をどう出し入れすると作品が最上のものになるか、神の視点でぜんぶ見えてる人が演出家

という。これ『Victoria!(大阪松竹座)』を思い出すと「なるほどなあ」と思いますよね。

とにかく、「演出」という仕事はシロートができるものじゃないと思われる。そこにもってきて、これオンライン演劇ですよ。オンライン演劇って何。テレビ創生期にあったような「生中継のテレビドラマ」みたいなものか。でも密になってはいけないので出演者一人ひとりがバラバラに、それぞれの家から生配信によって出演する。画面の感じとしてはZOOM会議ですな。「ZOOMのあの画面で演劇やるのって見たいか?」「うーんあんまりそそらないかも…」と、ZOOMやったことある人は思うよぜったい。ただでさえ配信は他のことに気を取られて途中で脱落したりするのに、いくら自分の推しメンが出てたとしても、最後まで見させるのってたいへんだよ? それをどうにか見させるのは演出の手腕である。もちろん脚本も演技も大事だけどそれが素晴らしくても演出がダメならすべてダメになる。そんな役目までメンバーにやらせるのはすごいことですよほんと。

といっても、「企画・プロデュース・脚本・演出・衣装・美術・音響・映像・配信・広報・出演を メンバー自身が担い」というのを、どこまで真に受けたらいいのか。「そうはいってもプロの手が入ってんだろ?」ってのが汚れたオトナの考えることで、でもふつうに汚れてない常識的な大人が考えたって「プロの手が入って当然」であって、もし本当に「メンバーのみでやらせる」んだとしたらそんなん「放りっぱなし」で無責任きわまりない。今回のプロジェクトは、『劇団ノーミーツ』(芽瑠ちゃんがここのオンライン演劇に客演したことが今回のプロジェクトのきっかけである)アドバイスなり手助けするプロが横にいたほうがいいに決まってるし、いろいろ学んで、そこから自分自身の何かが芽吹いていくのだ。だから、このプロジェクトは、この一回で終わらせてはいけない。これ一回で終わったら、せっかくの体験(と、そこから生まれてくるもの)がそれこそ放りっぱなしだよ。

……などということも、この第一弾の作品である程度のものを出してきてくれればこそである。カンペキな作品なんてもとより求めてないが(ごめん。でも演劇って難しいんだよプロでも!)、これが箸にも棒にも…(´Д`)みたいな芝居だったら、もう次を見る気もなくすじゃん。とにかく一発目のデキは大事! そのデキはどうだったのか?

これがねー、ほんと、考えさせられてしまったのですね。(続く)
(バラエティのCM前みたいでスミマセン、でも長くなりそうなんで)(続きこれから必死で書きます)

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