哉走りその4

承前)
まあいろいろあるのだけれど、Studio ZAZAでコンサートがあったのは良いことであった。何もないのがいちばん当惑する。何かあればそれがいいものであれダメなものであれこちらに何か思うところが発生して、判断のよすがになる。何もなくても考えるけど考えた先は妄想だ。それで言うなら「何もない」ということが最大の判断材料で「ダメ」なのかもしれない。しかし、考えてもみてください。「夢は何ですか」「あなたのやりたいことは何ですか」「あなたは何になりたいですか」と問われていったい何と答える。小学生の子供に聞くなら即座に答えも出てこようが、いい大人が「あなたはこれから何者になるのか」と訊かれたって答えられないですよ。「あなたの夢はなんですか」「毎日ごろごろしながらなんとなく世間に文章を発表(文を書くことにはまったく苦労なし)しそれがいっぱい読まれてホメられてお金になる」これが私の正直なところの返答だが、そういう問いかけをする人はそういうことが聞きたいんじゃないと思う。あなたが今後なにごとかを達成するためにはどのような努力をする気があるのか、を聞きたい(というか問いただしたい、突きつけたい)のである。

そうです……はっきりとその通りです……私は不安なのです、あなたがこれからどうしていくのかがわからないので。
しかしそれはこちらの勝手な思い入れで、いざ自分が「今後どうするのだ」と問われても先述のごとき返答しか出てこないし、そうするためにどうしたらいいか何も考えていないしそうするために何か努力をする気も皆無というのでは、相手に何かを期待するなんてことは申し訳なくてできません。でもできないけど、する。申し訳ない。

Studio ZAZAというのは道頓堀筋の、むかし中座があったところが建て替わった新しいビルの四階で、スペースが3つあって、まあライブハウスみたいな場所です。私は「好きな男を見に行く場所」が「ライブハウス」「競輪場」「劇場(けっこう立派)」と変遷してきて、最初がライブハウスなので基本がライブハウスで刷り込みされてるんです。エッグプラントとファンダンゴとどん底House(昔の。今のOtherside。ってまだOthersideって存在してるんだろうか)。あれぐらいの場所がイイし、どきどきするし、対象が美しく見えるのに最適な広さだと思う。粗末さもわくわくをかきたてる。松竹座はいい劇場だし大好きだけど、きっと頭で考えた「大好き」で、なーんにも考えずに選ぶんだったらエッグプラントを最上とするだろう。そんなわけですので、松竹座で退団興行をした元歌劇トップスターでも、私はライブハウスで見るほうがかっこいいと思うのだ。
でも、ライブハウスでやるからって、ガラにもない「ライブハウス仕様」でやられるのは勘弁だ。ロックの素養のない人がロックのマネをするのは見ていてツライ。あんたそれをかっこいいと思うのか……てのがバレるから。ムリしてやるならやらないでいいんです。ロックというのは様式じゃなくて「いかにかっこいいか」だから、ふつうにかっこいいと思うことをやってくれたらいいのに。なのでそういう場所で大貴誠が「ライブ」をやるというのはふと心配にさせられる、のですが実はそれほど心配はしていなかった(どっちなんだ)。(つづく)