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武生公演も終わった。
ここ数年でというか一昨年昨年に比べてだんぜんいい作品でよかった。でも今年がこんなにイイと思えるのって、一昨年昨年があんまりだったからだよなあ。そういう作品をやらせるなよ大事な劇団員に!と何か昔のことなのにフツフツと怒りが湧いたりした。それはそれとして、武生公演の千秋楽というのは、「同じ男役歌劇であっても宝塚のファンはこれを味わうことはないだろうな」という特別な空間である(宝塚ファンが味わいたいと思ってるかどうかという問題はある)。今日は貴城、桐生、真麻、鈴峯に会いました。って、劇場ですれちがっただけです。
今回の武生のDVDはもちろん予約した(去年ですら予約して購入したんだから!)。映像が残る、とはいっても、『薩長同盟のところのひーちゃんの、銃を構えるところ』がアップで撮られているとは到底思えないので、今日、とにかく目に焼きつけたぞ。ほんとに久しぶりにひーちゃんの演技力とひーちゃんのかっこよさが合致した場面であった。その前っていうと「ナンタラが、ラバーナさまは立派なひとだあーー!と叫ぶとこ」が良かったとこ、ということになると二年ぶりかよ。それにあれはひーちゃんに泣かされた場面であってひーちゃんのあのかっこよさが出た場面てわけじゃなかった。とにかく緋波亜紀の桂小五郎は眼福だった。そしてそれに対峙する者としての西郷さんの蒼音淳もよかった。

でも冷静に見てると、この薩長同盟のとこで私はすべてを許したような感じがあって(いや、龍馬が死ぬ時の、幻想のお龍を胸に抱くことのできない場面もいいとは思った)、けっこう冗漫とかポンチキな場面も散見され、そしてやっぱり桜花ちゃんの龍馬は狂っていた。狂ってるって、ある意味ホメ言葉でもあるんだけど(だって、高世とかにはもっと狂ってほしいと思うことあるし)、演技の方向性があれだけの人じゃないはずだが(袴垂保輔とか)。東京公演で狂気で度肝抜くというのはありとしても(ないか……)、ああいうふうにならずに、もっとすてきな桜花昇ぼるというのはぜったいあるはずなのに。

しかし、桜花ちゃん、武生のこと好きになったんではないだろうか。という気持ちになったいい千秋楽でした。
それはほんとに。

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