Wonderous Stories

日を置いてまた武生に行ってみたらずいぶん変わっていた。舞台が。『武生の鼓太郎』さんが、やはり大魔神的なモノに変貌しつつある。このままいけば確実に、どこかの巌坐にでも封じ込めておかねばたいへんなことになる、ような人になっていて、後世、梅原猛が「鼓太郎伝説で一冊書く」んじゃないかと思わせる。『隠された鼓太郎』。
ところどころのポイントで雷鳴が轟いたり、セリフの抑揚つけたり(というか見得を切る的な台詞回しになったり)、とにかく「勢いで押し切る」戦法に出たとみた。そうなるとにわかに、こなれの悪い歌詞が耳につきだす。「一人前になるには五年と言われ」ってのも大概だが、「その紙 大事にしろよ」って歌詞はどうなんだ(笑)。そこが桜花ちゃんの熱唱だから「まあいいか」と思うけど、まあ、不思議な歌詞だ。

やはり「絢音がホンマにつまらん役」「桜がめそめそしててしょうもない」「甲斐ジョージが戯画的悪役」なのがファンとしてつまらん。よかったのは「愛瀬光はラインに乗れるんじゃないかと思えた」ということです。

で、ショーのほうなんですが、うちの夫が「今年の春の洋舞の次にいい」と言いだして「がーん……気は確かか」となったのですが、よく考えてみると、今年のOSKのショー作品……アレとかアレとかアレとか……ああ……確かに春の洋舞の次にいいのかもしれない……と思ってまたショックを受けた。

やはり私には、ネジをしめきってない感じのするショーで、しかしイヤな感じはしない。イヤな感じがしないのはイイことではないか。ラテンとスパニッシュがないってのがいいのかもしれない。どっかで見た感じがあんまりないし。最初に見た時、オープニングが、なんか松竹座みたいだな、と思ったというのもあるのです。それと近鉄臭さはない。衣装も基本的にイヤじゃないが、モトのセレクトは悪くないのに飾りすぎだよ……(デュエットダンスのとこなんか、白燕尾の内側の金色のビラビラと、白ドレスの後ろの金のレースがなきゃどんなにもっと麗しかったかー)。25分と聞いてびっくりしたのは、もっと長い感じがしたからで、その長いナーと思うとこが私にとってネジがゆるんでると感じるとこかもしれない。

幕間は、緋波華月穂香で、まずやんしき歌い踊り、客席トーク、そして手振り指導の後の『あっぱれわっしょい』歌い踊る。この手振り指導されるのがツライのでこの曲も一緒にツライのだけど、曲終わりで「じゃわあああ〜〜〜〜んっ、じゃっ!」となるところで、「穂香V 緋波Λ 華月V」に腕を上げて下げて終わる、そのひーちゃんの腕を「すっ」とさげてピタッと止メるとこがステキでしてね。「ああ、OSKを見たー」とうっとりする。私の思う「OSKらしさ」ってあそこじゃないかしらん。

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