辻占煎餅

OSKのOSKらしさの芯は“渾身”であるという。私もそう思う。でもそれは「そう言うしかないからなんじゃないか」。
OSKらしさは“渾身”からくるものだとすると、他の団体には渾身がない、あるいは少ない、薄い、ということになる。

このことに違和感がある。よそだって渾身でやってるだろう。宝塚だってきっと渾身でやっている。いや、いかにもテキトーにフラフラやってるのが後ろのほうにいますよ、と言われたことがある。なるほど。宝塚にはそういう人もいるだろう。それならOSKにもそういう人はいる。芸風は違う。志向も違う。しかし同じように渾身と気抜けの混淆で成り立っている。

桜花ちゃんのディナーショーがあった。たぶん最後のディナーショーで、これを見終わって私は「OSK90年の歴史に誇るトップスターだっていうならもっと金かけて(食事のことではない。……いや食事もすごくて何年か前にあった堂島ホテルのディナーショー“越え”だったけど)つくってやってくれよ」と泣きたくなった。しかしそれとは別にひとつ、腹の立ったことがある。

娘役2人、男役1人の3人で歌い踊る『恋するフォーチュンクッキー』。『恋チュン』は良い曲である。良い曲であり、売れていて、みんなで揃える簡単なフリがついていて、これのフラッシュモブのムービーがyoutubeに山ほどアップされている。ダンス自慢の人もやるし、どっかの会社の踊ったことないような人もやる。もちろんAKBGもいろいろなバージョンで踊る。じゃあこれをダンスのOSKがやるならどうなるんだ、とイントロ聞いた瞬間、身を乗り出した。しかしそのあとに続いたのは、テキトーな、ディナーショーの軽いワンコーナーなのでへろへろやってみましたよ〜本気出すまでもないっしょ〜〜……みたいなダンスと歌でした。

あんまり舐めたことをしてくれるな(泣)。

AKBのライブを何回か見ているが、OSKよりずっと渾身だ。それは比べられないとか、それは振付が違うからとか、それは口パクだから、とか言われても困ります。そこじゃないので。私はももクロは好まないけどもももクロだってOSKより渾身だろう。知らないアイドルもグループも劇団も人知れず渾身だろう。

OSKにおける渾身とかいうのは、単に「物理的に恵まれてませんので提出するものがお粗末です」を別の言葉にして言い訳してるのだ。…………いや。OSKは確かに渾身の魅力はある。あるのは知っている。しかしそれが持続しているとは思えない。私が現在、OSKに感じているOSKらしさというのは、もっと即物的な、音楽の趣味かキャスティングの趣味か衣装の趣味か……そういうものになっている。それの面で「OSKが好きだ」ということは変わらない。でも渾身の魅力も見たいんだが。

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