宇和島でも徳之島でもなく

『愛の翼』……私にはムリ!
いやー私「ムリ!」ばっかり言ってるような気もする。が、今回のこれは相当ムリだったんですよ。ただし『カルディアの鷹』よりはマシかなあ。うん、マシだ。『愛の翼』のほうが『カルディア』より時間短いから。早く終わるからまだいい。早く終わるっていっても、武生の客席で大概ダレました。苦痛。武生の「前半30分の日本物芝居」のはやみ甲作品はいいんじゃないかと思ってたけど、あれは30分弱で終わったからよかったのか。「私ははやみ先生の30分以上ある芝居は受けつけない」ことがわかった。

「話がトンチキ」
「これがかっこいい、と提示されるかっこよさが私にはバカみたいにしか見えない」

が受けつけない理由。ストーリーのトンチキさは、akihito先生と匹敵すると思うのに、なぜかakihito先生のようにネタにされないんよなあはやみ先生のは。今ふと思い出して検索したら出てきた、懐かしい学園前ちゃんが、2007年のはやみ甲ダンスカンパニー公演『ハーフデビル』を見て書いた感想、の一部。

ビジュアルとか、言葉の選び方とかいたたまれなくなるような場面が多かったです・・・あぅあぅ。それ舞台に乗せちゃうのかよみたいな。いやいいんですけどいいんですけど。何てかさーーーっ年若い二次の人がノートに書いた一次なんですよ!南港の帰りに電車の中で読んでる人を見たら、家で読めよ!と思っていたたまれないわけですよ!!(もう何の話かわかんないよ)

私はこの時、はやみ先生の芝居を見たことなかったんで、どういうことかわからないまま笑ってたんですけど(すごくいたたまれない芝居なんだなーということだけが激しくよくわかった)、『カルディア』と『愛の翼』見て、すげえ、まさにその通りのいたたまれなさだ、と実感しております。人間五十年高校生の同人誌のようなみずみずしい恥ずかしさ……。ううう。

あと、はやみ先生がたぶん「このセリフかっこいいぜ!」と思ってるであろうものが、ことごとく私にはダメだー。
『カルディア』の、高世が牧名に「へんな女だ」「ちょっと横になりたい」とか(思い出しても「うわあああああ」となる)、『愛の翼』で、没落貴族で遊び人でモテモテで国民的英雄だけど影があってなおかつみんなのアニキ(←ココ足しました。これけっこう肝腎なとこ、はやみ先生的に)であるスター闘牛士(この設定も、なんかジュネ小説の、18歳で巨大コンツェルンの社長に就任する美少年、みたいなツラさを感じる)が、王妃の姪である令嬢と恋仲になるんですわ。それで庭で逢い引きしてると、お嬢のお付きがやってきて「お嬢様とつき合うというならちゃんとつき合え、スター闘牛士ではなく、一人の男として誰の前に出ても恥ずかしくないような男になれ」みたいなことを言う。まあありがちだけど、なかなか良いセリフである。そしてこのセリフは、それまでちょっとコミカルな感じできてたのに、そこはきりっと、まじめに語られるわけです。それも良い。

が。これに対するエミリオ(主人公のモテモテ闘牛士ね)の返答。

「悪いけど、オレ、この恋、あきらめる気、ないよ」(←フフン、て感じで)

ぶちこわし….. _| ̄|●
つか、そもそもおかしいだろこの返事。アンタの言うこと聞く気はないよ、って意味になるじゃんよ。ここは自然に(力まず軽くなりすぎず)「わかった」の一言だろう。そのほうがどれだけかっこよかったか。でもはやみ先生においてはそうではないらしい。
この手の「なんでそこでそう言う???(前後の流れもおかしい&そのセリフのせいでかえって「こいつ間が悪い」「こいつ頭わりいんじゃないの?」ということになる)」ってセリフが肝腎なとこで出てきていちいちガックリ。
王妃がさー「至上最悪の女帝。それが私に与えられた冠だからな」って言うとこがあるわけよ。そこはもう、みんな「実はそうではない」ことがわかってるし、王妃だって片頬で微笑みながら言ってるような場面なのに、王妃の従僕(執政官とか言ってるけどやってることは小姓)が「悪い貴族がウソの噂を流してるからそんなんなったんですうーー」とか半泣きで言うしまたぶちこわし。王妃が「ナントカですわ」「ナントカなさいまして?」とか言わないのまではイイ線いってたのに。

いい曲がないってのも、『愛の翼』の弱いところであるな。
「あーまるでーつばさをもつーまーたーどーおーるー♪」
って、つばさをーのところでバタバタと羽ばたく振りがついてるのが、目がくらむほどださい。つらい。HKTの『初恋はバタフライ』で「はつこいはーばーたふらいー♪」で手をぱたぱたやるのの良さを思い出しちゃうのでありました。

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